編集のことば
近代スポーツは、それを取り巻く種々の産業と深く関わりながら発達してきた。特にスポーツ用品は、それらの製造と販売にかかわる業者との関係が密接であり、スポーツが盛んになるにしたがって、これらの業者も増えてきている。
『日本運動具新報』は、野田繁若を創業者とする日本運動具新報社を印刷兼発行元として昭和23(1948)年3月1日に創刊された、わが国で最初のスポーツ用品業界紙である。(昭和47年に『シンポウ』、昭和53年に『スポーツ産業新報』と改題。)
この新聞は国立国会図書館をはじめとする、わが国のいずれの大学・専門図書館にも所蔵されておらず、(株)日本運動具新報社所蔵の原紙は劣化が憂慮される状況である。 そこで、スポーツ産業史専門分科会は、スポーツ産業の発達過程を知る上で重要な資料である『日本運動具新報』の保存と活用を図るため、データベース検索システムを構築した。
我々が所属する日本スポーツ産業学会には、研究者のみならず、スポーツ用品製造業、プロスポーツ、広告代理店、スポーツメディア、スポーツ健康産業、余暇産業等、様々な会員507名が所属している。研究者についても経営学、法学、工学、教育学、医学、社会学等、多岐に亘っている。初のスポーツ用品業界紙として重要な役割を果していた『日本運動具新報』は、当時のスポーツ用品業界の情報が網羅されており、記事に関しても豊富で現在も継続している。したがって、これまでの流通機構やスポーツ企業経営状況を見る資料として最も適しており、上記に挙げたスポーツ産業学会会員ひいては多くの研究者達において、活用させる可能性を大きく有している。
これらのことを鑑みて、スポーツを取り巻く多様な環境の中で、日本運動具新報データベースの需要は、益々高まっていると言えるだろう。
2017年11月
スポーツ産業史専門分科会