◆書誌解題◆
30 全集目次案
書誌情報
【草稿】
縦書200字詰 B5判 標記「筑摩書房」 全12枚

【初出】
『太宰治全集』(昭和23年4月~24年12月 八雲書店)第1巻~15巻(12巻は未刊)
解題
 八雲書店版『太宰治全集』は生前に刊行の始まった初の全集で、A5判カバー付、昭和23年4月から翌年12月までに14冊を刊行。当初16巻の予定であったが第3回配本時に18巻に変更、結局第14回配本をもって中絶した(1巻~15巻のうち、第12巻のみ未刊行)。
 目次案は原稿用紙を横に使用し、青ペン、黒ペン、紫ペン、黒鉛筆、赤鉛筆の5種が使い分けられている。青ペンでまずその巻に収録予定の作品をリストアップし、黒ペンでこれを補訂、原稿用紙の枚数や頁数の計算を黒鉛筆、既刊行著作集の収録状況との関係を赤鉛筆で示し、全集の刊行予定巻表示の一部を紫ペンで書き込む、という形が取られている。
 この草稿の収められていた封筒には、美知子夫人と思われる筆跡で、「八雲書店版/太宰治全集企画(目次案)昭和二十二年八九月頃、八雲の編集者で全集担当亀島貞夫と、この案をもとに企画をすすめ生前には、第一回配本『虚構の彷徨』発刊」との覚え書きが記されている。
 『全集13』(98・5)に初めて翻刻された。(安藤宏)