◆書誌解題◆
53 蜃気楼 6月号
書誌情報
「蜃気楼」6月号 発行:大正15年6月5日 編集兼発行人:青森市寺町一四(豊田方) 津島修治 発行所:青森市寺町一四(豊田方) 蜃気楼 24頁 227mm
解題
 「蜃気楼」は太宰治が旧制青森中学の同級生に語らい、自ら主宰した活版の文芸同人誌。大正14年(1925)10月号から昭和2年(1927)2月号まで、12冊を刊行した。完揃は現在一組しか確認されておらず、そのほかには「太宰治文庫」収蔵の2冊が知られている。なお、表紙のデザインはほとんどの号を太宰が手がけたようである。大正15年6月号は、太宰の執筆は「儡僂」(署名「X・Y・Z」)、「将軍」(署名「津島修治」)、「編集後記」(署名「修治」)の3編(いずれも全集に既収録)。なお、21頁の「蜃気楼同人諸価値表」(画像12)は、「文芸春秋」大正13年11月号の「文壇諸家価値調査表」を模したもので、太宰が中心になって作成したと言われている。なお、署名「龍二」は太宰の弟の津島礼治。(安藤宏)